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葵と出会って早2年の年月が流れた。
一緒に住む事になった葵は毎日、麗と秦共に茜の訓練を受けていた。

「よし、今日の訓練はここで終わりね!次の訓練は、…えっと、まだ未定ね」
「未定?」
「…あー、敵対マフィアとの抗争が明日からでね。葵、残念だけど…」
「未定、……」
「まあ、抗争終わったらいつも通りに母さん、訓練してくれるから!」
「…いつになるんだろうね」
「あははっ、まだ分からないわよいつ終わるのだなんて!まっ、負ける訳ないけどねえ!」

明るく笑う茜に葵と麗は顔を見合わせて笑う。
…だが、叶う事ではなかったのだった



そして、運命の日。
朝から大降りの、雨だった。
茜は武器を持って部下と共に敵対ファミリー…“カルコラーレファミリー”の元へと出掛けて行った。
麗と葵、秦は留守番だ。

「葵」
「?何?麗」
「なんか、嫌な予感がする」
「……え?」

予感だから、という麗だったがその事を葵に伝えた瞬間バタバタと廊下から走る音が響いて来る。

「…た、大変です!お嬢…!」

一人の部下。その身体は傷だらけだった。

「な、にが…!傷だらけ…っ!」
「ボスが、茜さんが――――!!!!」
「「「――――!!??」」」

麗が膝から崩れ落ちる。
そんな麗を秦と葵が2人で支えた。

「大丈夫?麗」
「…あ、あ…………」

ガタガタと震え始める。

「母さんが?う、そ、嘘だ……か、母さんが………あ……」


聞いた知らせ。それは、―――――


「母さんが死んだなんて!!!!!」


そう、茜が亡くなった。
相手はカルコラーレのボス。
麗の初恋相手の父親だった。

麗はすぐに扇を持って駆けだす。

「な、れ、麗――――!!!!!」
「姉さん!」

葵と秦の声など耳には届かない。

(嘘だ、嘘だ、!絶対に!母さんが死ぬ訳ないんだ!)

茜は麗の目標のような人だった。
だから、認めたくないのだ。



そして、カルコラーレのアジトへ乗り込み、敵を倒していった。
辿り着いたは、とある一室。
そこはカルコラーレのボスの部屋だった。

麗は唾を飲んで扇を構え、慎重にドアを開く。
そこには―――


「かっ…母さん!!!!!!!!!!!!!!」


母であり、目標であるヴェンタリオファミリーのボス…蓮漣茜の血まみれの姿が在った。
もう、息は尽きていた。

茜の遺体の傍には茜の武器である刀が血に濡れて転がっていて。

(母さん………ッ)

それが、死んだのを見せつけているように麗には思えた。

そして芽生えたのは怒り、憎しみ、悲しみ。


「許さない許さない、絶対に、絶対に…!!!!」


麗はまず、生き残っている部下を集まらせる。
運がいいのか、敵はその場には居ない。

伝えるのは、ボスの死、そして自分が新しいボスとなること。


「…付いてきてほしい。私は、母さん、いや…ボスの無念を晴らしたい…!!」


ボスになって、ヴェンタッリオとカルコラーレの戦いに終止符を打つこと。
これが麗の望みだった。


「…お嬢、いや、ボス!行きましょう!倒して…ヴェンタッリオに勝利を!」
「「「「「ボス!!!!!!」」」」


心が一つになった。そう、麗は感じ取れる。


「では、行きますよ!!!!!!!!!!!!!!」


そして、生まれて初めての口調。
それは決意故に。
この世界に本格的に入るに、必要な、決意―――――。







「………来たか」

男がドアを見つめて呟く。
その傍には麗と歳が近そうな少年の姿が在った。

「祇徒、隠れておきなさい」

男に祇徒、と呼ばれた少年は「はい、」と返事をして隠れておく。
そして、響いて、近付いてくる多数の足音と、人の叫び声。

(……?ヴェンタッリオ…?)
「…カルコラーレ、ボス…命、頂きに来ました」

祇徒がそう思うと同時に声が耳に入った。
……麗だ。

(…麗?)
「…くく、母親はどうした?」
「しらばっくれないでください。……貴方が殺したんでしょう?母さんを…!」

麗はぎゅう、と扇を握りしめている方の手を握った。

「…では君は何故ここに?…ははっ、笑わせるな。もう決着はついただろう」
「私はヴェンタッリオファミリー10代目、蓮漣麗です」
「な、」
「…先代の仇、とらせて頂きます」

男が油断している間に、麗は扇ではなく隠し持っていた銃を向けて撃った。

―――――パァンッ

乾いた、銃声。
それと同時に男は倒れた。

(―――――!!!!)

祇徒は目を見開く。
父親が倒れて行く様を見ている。

つい、出て行ってしまった。


「………祇徒、?」
「……ッ、麗!」


キッ、と睨みつける祇徒に麗はボソ、と呟いてその場を去る。


「……敵同士だ、さよなら、祇徒……」









「姉さん!怪我は!?」
「…秦くん。大丈夫だよ」
「…あれ、?…口調、」
「あ…気にしないで」

しばらくして麗はヴェンタッリオのアジトへと戻った。
そして、在ったことを話す。

「母さんは…ダメでした。」
「…ッ!!」
「…だけど、ヴェンタッリオはボスが居ない状態にはなりません。…私がボスです」
「…麗が、!?」
「母さんの代わりに、?」

やはり、これにはびっくりした様だった。

「…ということは、守護者が必要になります」
「……あ、そういえば」
「あ」
「葵さん、貴方を雲の守護者に任命します。秦くんはまだ訓練が必要です」
「え―――、」
「えっ」
「受け入れて、もらえますか、…?」

麗がそう言うと、葵は少し考えたがすぐに答えを出す。

「うん、勿論」

葵がそう答えると麗はニコッと微笑んだ。




――――………

それから葵の後に秦が嵐の守護者になった。
麗はというとソルト・ヴァルヴァレス、レン・ウェルヴァーナ、桐城昴をファミリーに入れ、それぞれ守護者に任命した。
一方、カルコラーレはというと閑廼祇徒がボスになりファミリーを更に築きあげてきている。


「………これで、いいんですよね、……母さん」


ポツリと呟いた声はとても小さい声。


「姉さん」
「…!秦くん、何?」
「お墓参り、行こっか」
「うん、分かった」

1つ頷いて麗は自室から秦と共に出る。

「あ、麗ちゃん!」
「麗」
「麗様」
「ボス。……あれ、どうかした?」
「いえ、何もありませんよ!さあ、お墓参り、行きましょうか!」


私は、この仲間を護る――――。

それが、ボスとしての使命、

母親、蓮漣茜を目標とし、追いかける私の使命なのだから…




                  Una cosa per proteggere―護るもの―     完
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「…ん、…」
眩い朝日の光が窓から室内に差され、その光で少女…麗は瞼を開く。
辺りには沢山の本棚に沢山の本が丁寧に並べてあった。
しかし、そんな本とは逆に開きっぱなしでテーブルに置かれている本も山ほどある。
それらの本の文章の下には色様々なカラーペンで綺麗に線が引かれていた。
「…もう、朝ですか」
そう言って乱れた髪を整えているとコンコンとドアの叩く音が聞こえた。
「姉さん、起きてる?」
「秦くん」
がちゃり、と音を立てて麗の部屋に入ってくるのは弟の秦。
秦はおはよう、と言って微笑んで持っていたメモの内容をつらつらと読んでいく。
「今日は他のファミリーとの抗争、任務は姉さんと俺、それにソルト。それだけ」
「うん、ありがとう」
にこりと麗が微笑むと秦も少しだけ緩やかな表情になって麗の部屋を出て行った。
広い部屋に一人残された麗。
麗は徐にカレンダーの方へ歩み、カレンダーを見る。
カレンダーの中に赤いペンで二重丸に記された二日にち。
それは、今日を表していた。

(…ヴェンタッリオファミリーの10代目ボスになって2年目…それと、




                  お母さんが亡くなった日………)





「イタリアぁあ?」
ごくりとホットココアを飲んだ後、当時9歳の麗はそう少し驚いたように言った。
「ええ、そうよ!イタリアにいらっしゃるⅨ様にお会いするのよ!ああ、楽しみ!」
母の蓮漣茜は二コニコと笑いながら言う。
ヴェンタッリオファミリーは1代目の頃からとある巨大ファミリーに堅い忠実を誓っていた。
その歴代ボスの中でも茜は大きな忠実を誓っていたのだった。
「面倒だなあ…。まあⅨはいいけど」
「仕方ないよ姉さん。いつもの事だから」
「まあそうだけどさ、」
麗と秦は呆れたように話す。
茜はこんな子供のような性格だがその性格は子供の麗と秦は余り受け継がれていない。
つまり、もう何年前に他界している父親の性格が二人には受け継がれたのだろうと秦は考えていた。
「さ、行くわよ!!麗、秦!!!」
いつの間に準備を済ませたのか荷物を纏めて言う茜。
「早いよお母さん!?何でそんなに早く行くんだよ!?」
「だって早く行きたいんだもの!さ、早く早く!!」
ニコニコとしながら茜は玄関へと向かう。
「…行くか、秦くん…」
「そうだね、姉さん…」
麗と秦は茜の後を追うようにアジトから去った。



――イタリア


飛行機の中での長旅を終え、イタリアに着いた。
秦は少し酔ったのかぐったりとした様子だが、茜と麗はニコニコとしている。
「母さんと姉さんってよくそんなに元気だよね…」
「私は飛行機に乗るの好きだからな、」
「私はもうⅨ様にお会いできる事でもう酔いなんてないわ!」
ふう、と一つため息をする麗。
茜は手を合わせて今か今かと行きたがっている。

その時だった――――

ドン、と一人の子供が茜の身体に当たり、倒れた。
「…っ…!すみませ、…っ」
「…いえ、……あら?」
ぶつかった子供を見た茜は急に真剣な顔になった。
青紫の長髪に黒紫色の瞳の少年。
身体は傷だらけ。
「お、お母さん…?」
麗は少年をちらちらと見ながら言う。
(エストラーネオ、ね)
そう思った茜はニコッと少年を見て微笑む。
少年はそんな茜を見てビクッとする。
「君、私達と住まない?というかもう決定ー!」
「「「……は…?」」」
目を見開く麗と秦と少年。
そんな3人を余所に茜は「良いアイデアー!」などと言ってニコニコしている。
「か、母さん!?」
「あーもー、もう決定事項!麗!この子の手当てしてあげて!」
「え、?」
「えー…、もうめんどくさい…しかも慣れてないけど…まあいいか、おいで、」
麗は少年の手を掴んでイタリアに予約したホテルへと向かった。


「…えっと、消毒液に絆創膏にコットン…だっけ?…」
ごそごそと救急箱の中をあさる麗に少年は声をかけた。
「ね…ねえ、…いいの?」
「ん?」
少し少年は顔を俯かせ、言う。
「僕が、…君たちと一緒に住むってこと、…」
「ああ、お母さんはいつも急だからね。慣れてるから大丈夫だ、…ほら、沁みるよ」
消毒液を含ませたコットンを傷口に当てると少年は沁みたのか「う、」と声を漏らした。
「傷口多いなあ…」
「その、君…の家って…その、…一般の家、だよね?」
「え?…あー…えーと、んー…単刀直入にいうと…マフィアってやつ?」
傷口を手当てしながら苦笑をする麗。
少年は「そうなんだ、」と言って黙りこんだ。
 
しばらくして、麗は全ての怪我を手当てし終えた。
「ふう、…ちょっと不格好かもな、包帯とかが」
「ううん、大丈夫だよ」
「そうか、…で、名前なんていうんだ?」
名前を聞いた麗に対し少年は少し口を緩ませ、ゆっくりと名を告げた。
「……葵、紫俄 葵だよ」
「そっか、葵…か、…私は蓮漣 麗!よろしくな!」
そう言って、麗は満開の笑みを葵に向けた。




                                   後半へ続く…
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